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だいたいXamarin.Formsのブログ

Xamarin Live Playerの仕組みを想像してた

今朝起きるとBuild 2017の2日目にXamarin Live Player(以降XLPと省略します)という技術が発表されていたので、今日はその仕組みについて想像していました。

5/12 午前

この時点では、どうやらXLPは「Mac不要でiOSアプリをビルドしてデバッグできる」技術らしいと把握していました。

「またまた皆騙されちゃってー、iOSアプリをビルドするならMacは必要、見えないところにいるだけでしょう」と想像した図がこちら。

断っておくとこの想像図は間違っています。(そもそも「iOSアプリをビルドする技術」という理解が間違っている)

一応、この想像図について解説すると

iOSアプリのビルド

現在でもmachinecloudのようなMacを貸し出すクラウドサービスやVisual Studio Mobile Centerを利用することで手元にMacマシンが無くてもiOSアプリをビルドすることが可能です。

iPhoneへのアプリの配信

MicrosoftはHokkeyAppというサービスを持っていて、その中にはテスト用アプリの配布機能も含まれます。iPhoneへのアプリ配布もできそう。

デバッグ

以前からwi-fi経由でのリモートデバッグは可能でした。

とまあ、既存技術の組み合わせでできそうな気がしました。間違ってるんですけどね。

5/12 午後

新しい情報を得て考えを改めます。

ここでXLPの制限事項の存在を認識します。

Xamarin Live Playerの制限事項

Xamarin公式のGuidesによると、主だった物として以下のような制限がある模様。

  • Android: AXMLファイル(Xamarin.AndroidにおけるAndroidリソースの拡張子)がサポートされません。
  • iOS: storyboadの一部の機能やXIBがサポートされません。
  • サブクラスの実装ができません(?)

なるほど、リソースやレイアウトファイルはビルド時にAndroid/XcodeのSDKによって処理されていたはずです。 これらがサポートされないということはXLPではアプリをビルドしないと考えるべきでしょう。

Continuous

ContinuousはiOS上で動作するC#、F#用のIDE(統合開発環境)です。 iPadやiPhoneで書いたコードがその場で実行できるわけです。

ところで、iOSアプリでは実行時コンパイルができません。そのためContinuousは読み込んだコード解析して、それを再現する処理を実行しているはずです。

つまり、こんなコードを書かれた場合

// ユーザーが各コード
UIlabel label = new UILabel();
label.Text = "hello world";

このようなコードに相当する処理を実行しているということです。

// Continuousが実行する処理
object variable = Activator.CreateInstance(Type.GetType("UILabel"));
Type.GetType("UILabel").GetProperty("Text").SetValue(variable, "hello word", null);

ユーザーがどのクラスを使用するか不明なため、主要なライブラリはアプリに同梱しておく必要があります。その証左としてContinuousのアプリサイズは201MBあります、かなり大きいですね。

さて、話をXamarin Live Playerに戻します。

制限事項より、Android/XcodeのSDKを使ってビルドされたアプリケーションパッケージが実行されていないことが読み取れました。ということは、Visual Studioで書かれたソースコードはContinuousのようにインタープリタ形式で実行されていると考えられます。

ならば、XLPのiOS版アプリは通常よりもはるかに多きいサイズであるはず。 (補足:通常のXamarin.iOSアプリでは参照されないクラスを削ってサイズを小さくしている)

実際 197MB ありました。うん、これはもう間違いなくContinuousと同じ仕組みですね。 (ちなみにAndroidはアプリと別にライブラリをインストールできるし、実行時にコンパイルできるのでもっと小さいです、30MBくらいだそうな)

まとめ

  • XLPはVisual Studio(for Mac)から転送されたソースコードをインタープリタ形式で実行している。
  • Android/Xcode SDKを使ってビルドしないので通常のXamarinアプリとはできることがかなり違う。
    • 動作する仕組みも違うので実機デバッグの代わりにはならない。
  • 系譜としてはむしろXamarin Workbookのような一種のplaygroundに近い気がする。
    • 身もふたもない言い方をすると強化されたGorilla Player。
  • デバッグ可能な点は新しい。
  • 通常のアプリ開発に必要な開発端末のセットアップ無しでXamarinのコードを(制限付きで)実行できるのはちょっとうれしい。
  • XLPでiOSアプリを作ることはできない。もちろん公開もできない。
  • Macを買わずにWindowsだけでiOSアプリをリリースできるなどという妄想は捨てる。

ちなみに、この記事を書いている時点でもまだXLP試せてません。何しろコレなもので。